scratch!!!

イメージから離れた場所で

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昨夜は午後2時前から9時ごろまで尾道に滞在。
夜のネコは暑い昼間とまた違う趣き--表情とか、活発さとか--があっていいのですが、
明るい時分と比較して、きちんと撮れる確率がガタ落ちです。
昨日も結局3枚しか撮れませんでした。
外灯もないなかをうろちょろしていてもピントの合わせようがないのです。いっぱい見たんだけどなぁ。
まだ明るいうちに撮れたぶんも合わせて、少しずつ出していきますのでよろしかったらお付き合いください。

***

さて既に知っている方にしてみれば「もう何十周遅れの話だよ」ってことになるのですが、
私としては現代の2009年に知ったのだから仕方ありません。

なぜ、植物図鑑か―中平卓馬映像論集
中平 卓馬 (著)
筑摩書房
ISBN-13: 978-4480091109


1973年に刊行されたものを、2007年に”ちくま学芸文庫”として復刊。
上のISBNは(より安価で入手できる)2007年刊行の文庫版です。

中平卓馬氏は現在も活動を続けている写真家で…と、私ごときがいまさら書くのもなんだかなぁ
という有名な写真家です。
1970年代はじめころまでには「アレ・ブレ・ボケ(粗い粒子の画面・手ブレや被写体ブレ・外れたピント)」の
「モノクロ写真」で脚光を浴び、しかし、
1973年の「なぜ、植物図鑑か」において自らの作風を完全否定し、
目指す表現方法を「ブレなど一切ない、かっちりピントの合った、カラー写真」と定め、
1977年自らの身に起こった昏倒とその結果残った後遺障害(言語能力・記憶)を経て現在に至るという、
波乱万丈の人生を、いまなお生きて、写真を撮り続けているそうです。

さて、私が「なぜ、植物図鑑か」でハッとさせられたのは、
中平氏が自らの意思で積極的に推し進めた「アレ・ブレ・ボケ」という表現手法を
これまた自ら否定するに至ったその論理展開です。

ものすごくざっくりいえば、
『アレ・ブレ・ボケの表現、つまり「はっきりと対象物が見えない」というその”曖昧さ”のなかに、
撮り手が世界に対して有する<イメージ>や情緒や<ポエジー[詩]>が存在する余地があるが、
しかし、
その撮り手が持つその<イメージ>や情緒とは、
撮り手自身の「世界がこうあってほしい、こうあるべきだ」という<私による世界の所有>であり、
撮影対象を、世界を、あるがままに見つめることをあきらめている…』とそういうことです。

***

今日挙げた2枚のうち、1枚目は”手ブレ”と”被写体ブレ”が重なった、
単純な技術的失敗写真なのですが、
ブレた画が含む”曖昧さ”に、夜の<イメージ>、ノラネコの<イメージ>などを意味としてしのび込ませ、
適当な理屈をキャプションにして与えれば、画として成立させることは可能だと思います。
しかしこれは、世界をあるがままに見つめる行為ではなく、
世界に対する撮り手の解釈を表現しているに過ぎないと思うのです。

もちろん、撮り手各々がどのような表現方法をとるかそれは自由ですし、
私もその多様な表現方法を否定することはまったくありません。

ただ、たとえば私がノラの子ネコさんを写して提示したとき、それを見た方が、
「かわいい♪」と感じるのも結構ですし、
「こんな小っちゃい子がノラとして生きていくなんて大変で心配だわ」でも構いませんし、
とにかく自由であるべきなのは、世界から写しとられた一場面に対する「見た方の解釈」であって、
私自身は--どの瞬間を選択するかという問題はあるものの--極力そこにあるものを
あるがままに提示するという態度が必要なのかな、と思うのです。
なぜなら世界の真実は私ひとりの決めつけで答えを出せるほどそう単純ではなく、
多くの眼を持ってして、時間をかけて捜していくものでしょうから。

***

否定はしません。しませんが、
紗がかかったような画像ならばそれは幻想的なのか?
ハイコントラストな画像ならばそれは被写体の力強さを表現しているのか?
彩度を落とした画像ならばそれはノスタルジックであることを示しているのか?

技法とその効果を単純に直結して完成したその写真は単なる”記号”に過ぎないのではないかと。

***

写真表現ってなんだろう、自分のオリジナリティってなんだろうと考えている方がいらっしゃるなら、
この本--特にエッセンスとしては冒頭の数十ページの部分--は有用だと思いました。
もちろん30年以上前の中平氏の論に同意/不同意、感想は様々でしょうが、
考える切り口のひとつにはなるのではないかと。ま、余計なお世話ですが(笑)
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by scratchphoto | 2009-06-28 09:24 | 尾道市